一般社団法人 千葉県作業療法士会 Chiba Assocition of Occupational Therapists

一般の方へ Guest

千葉県作業療法士会の活動に参加されている作業療法士に聞いてみた!

We asked an occupational therapist who is active in the Chiba Prefecture Occupational Therapists Association!

      • 今回は、印西市にある平成博愛会 印西総合病院で働く田染佐夏さんに、千葉県作業療法士学会の運営側の経験や、千葉県作業療法士会の委員会活動「地域共生社会推進委員会」について聞いてみました。
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    現在、どのような領域、職場で働かれていますか?

千葉県印西市にある平成博愛会 印西総合病院というところで働いています。

印西総合病院は14の診療科目と180床の病床を有した後方支援病院です。同敷地内には居宅介護支援事業所・訪問看護ステーション・デイケアを展開しており、二次救急まで受け入れをしています。体調を崩した際に集中的な治療を受けて、その後も地域で長く生活ができるように在宅支援のためのサービスも展開しています。

印西市はチーバくんのおでこ辺りにあり、千葉県OT協会の東総ブロックに含まれます。近年では珍しく人口が増加している都市で、データセンターや物流施設の誘致による働き手・子育て世代の転入が多いことから小児リハビリテーションのニーズも増えてきており、当院でも小児外来を展開しています。人口増によって市内の一部は振興が著しいものの、少し離れると過疎地域や次世代の福祉の担い手が不足している地域もあり市内でばらつきが見られるのも特徴です。

 

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    1日の仕事のスケジュールを教えてください。

8:30に出勤して、17:30に退社が基本です。朝礼はありませんので、出勤したら準備をして1対1の作業療法介入を開始し、担当患者のカンファレンスや担当者会議や家屋訪問があれば適宜対応します。昼休みは病院で食事が出るので食堂で食べ、食後は院内にある売店の50円のコーヒーがおいしくて安いのでいつも飲んでいます。午後はまた介入です。1日当たり8~9名の患者様に介入します。夕方は一日のカルテを入力してリハスタッフ間の夕礼をして帰ります。

 

 

  • 今の職場で働こうと思ったきっかけは、何かありますか?

元々は同グループ病院である世田谷記念病院というところで勤務していました。結婚・出産を機に夫の実家が近い場所で働きたいと思いまして、勤務実績を引き継ぐことができる今の職場に転籍することにしました。

 

 

  • 作業療法士の仕事で、やりがいを感じること、大変だと感じることはどんなことですか?

クライエントが自分の暮らしを立て直していく過程を最前線で見届けられるところだと思っています。マラソンの同伴者に近い感覚で、その方の「したい・やってみたい」をアシストできた時にやりがいを感じます。大変だと感じることは、クライエントが心身の状態の変化に混乱している段階でリハビリテーションを開始する方が多いので、医療機関でありながら医学モデルに囚われないように介入構築していくことです。他職種と積極的にディスカッションをしながら、前例のない取り組みでもチャレンジしながら臨んでいます。

 

 

    • 先日の第25回千葉県作業療法士学会の学会運営に携わってらっしゃいましたが、どのようなきっかけがあって、学会運営に携わることになったのでしょうか。

      千葉県作業療法学会は県内の作業療法士が集う1年に1回のビッグイベントです。今年度は当院も所属する東総ブロックが主催で、学会長の多田先生とは日頃から交流がありましたのでお声掛けいただきました。

 

 

    • 学会の準備、運営として、どのようなことを担当されたのか教えてください。

      学会開催前の動画作成や研修運営、会場設営に関わりました。

 

 

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  • 学会運営に携わってよかったこと、学びになったことがあれば教えてください。

  • 今回の学会テーマは「原点回帰~作業療法の専門性を未来へ~」は私も日頃の臨床でとても関心のあることでした。このテーマをどんな催しで伝えていくか?という答えのない課題に同志のOTさんと取り組む過程は、私の職業人生の中で大きな糧になったように感じます。

 

 

  • 学会運営以外にも、千葉県作業療法士会の委員会活動にもご尽力されていると伺いました。
    委員会活動について、教えてください。

地域共生社会推進委員会に所属しています。まだ就任して2年目ですが、臨床で働くだけではわからなかった地域の動向や士会の方針を知ることができる貴重な機会になっています。「作業療法は地域共生社会を理念で終わらせない」を実践していくために自分も所属地でできることをしたいと思っています注1)

 

 注1)厚生労働省資料によると、地域共生社会とは下記のように説明されている。

地域共生社会とは、高齢者介護、障害福祉、児童福祉、生活困窮者支援などの制度・分野の枠や、「支える側」、「支えられる側」という従来の関係を超えて、人と人、人と社会がつながり、一人ひとりが生きがいや役割を持ち、助け合いながら暮らしていくことのできる包摂的な社会である。

(出展:第102回社会保障審議会介護保険部会 資料3)(最終アクセス:2024/06/15)

 

【参考リンク】

日本作業療法士協会「地域共生社会」をテーマとした2022年の啓発ポスター(jaot.or.jp) (最終アクセス:2024/06/12) ※29.0MB

地域共生社会のポータルサイト|厚生労働省 (mhlw.go.jp)(最終アクセス:2024/6/15)

 

 

千葉県作業療法士会に入会するメリットについて、ご意見をお聞かせください。

職場で愚痴をこぼしていても何も変わりません。きっと臨床で自らが実際に得ている困り感は他のOTさんも感じていることなので、よりOTがOTとして活躍できるように声をあげていくことが大切です。県士会に所属していると、近くの市町村のさまざまなOTさんから話が伺えるので、職場外のOTさんの実情や困り感を知ることもできます。まだまだ職業人口の少ないOTは同職種の方に市中でお会いすることがないので職能団体に所属することで効率的に交流の場にアクセスできると思います。

 

 

  • 今後、県士会活動で取り組んでみたいことを教えてください。

    • 現在は地域共生社会推進委員会に所属しているのでその職務を全うしたいと思っています。医療・福祉のキーワードが地域包括ケアから地域共生社会に移行したことで対象が高齢者・障がい者だけでなく、生活困窮者・子ども・子育て家庭にも拡大しました。社会のニーズに合わせた作業療法の腕磨き・支援体制構築に貢献していきたいと考えています。

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    • これから、作業療法士を目指す養成校の学生さん、高校生へメッセージをお願いします。

    • 作業療法はとても面白いリハビリテーションです。精肉加工の仕事をするクライエントと10kgの肉を切り分けて焼肉をしたり、入院中にグルメ番組でみた料理を実際に作って食べてみたり、ダブルチーズバーガーを食べるために1km先のマックまで杖をついて歩いたり…これまでさまざまなクライエントの「したい・やってみたい」に関わってきました(食べてばっかりですね)。これらのニーズに寄り添えるのはOTの専門性による裏付けがあるからです。そしてリハビリテーションを始める当初から「したい・やってみたい」の芽を摘まないように関わっているからです。

      ぜひ、この面白いリハビリテーションについてもっと学んでみたい!とちょっとでも思ったあなた、作業療法士を目指してみてください。お待ちしております。

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(取材・編集 HP委員橋本 2024.7.2 update)